第26番「ラメンタチオーネ」と同様、この30番にもグレゴリオ聖歌のメロディーが使われているという。それは第1楽章の第2ヴァイオリンとのことだが、そもそもの曲を知らない者には、何もわからない。ただハ長調というだけあって26番と異なり、全体に明るい。それは緩徐楽章にも当てはまる。この第2楽章は、フルートの活躍が目立つ。その愛らしいメロディーは何とも微笑ましい。
第3楽章はゆっくりとした曲だが、これが最終楽章である。このような形態は、以降の作品にはあまりお目にかからない。ここの雰囲気は26番と比較すると、やはり可愛らしいという感じの曲。何ともさりげなく終わるので、聞いていると少し欲求不満になるかも知れない。第1楽章があまりに豊かなメロディーにあふれているので、バランスが悪いとも思えてくる。なお、作曲はこの30番が26番より前である。
フィッシャーによる全集から久しぶりにこの曲(CDの8枚目)を取り出して聞いてみる。この全集は、前半の曲が後に録音されていて、2001年の録音となっている。そのせいか、古楽器風の処理が堂々と見られ、演奏の水準の高さをさらに押し上げている。第1楽章にトランペットが活躍するのも効果的で素晴らしい。
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