これまでは一部の例外を除き、すべてタイトル付きの曲を聞いてきた。実際、タイトル付きの曲には印象的な曲が多く、親しみやすい。けれどもいわゆる疾風怒涛期の作品からは、タイトルのない曲でも素敵な作品に出会うことがある。交響曲の試行錯誤がいよいよ佳境に入るこの時期を、ブリュッヘンの演奏を中心に聞いていこうと思う。
第35番はエステルハージ公のヴェルサイユからの帰還に際して作曲された1767年の作品。第1楽章はゆったりした中にも推進力があり、明るくて素敵な曲である。その落ち着いた風格は、交響曲の様式がそれまでの初期的段階から次の段階へ入ったことを感じさせる。
第2楽章の弦楽器だけの緩徐楽章は、クァルテットのような雰囲気。第3楽章なってオーボエとホルンが再び加わってメヌエットとなる。そう言えば、この曲の楽器編成はたったそれだけである。それが気にならないのは、曲の構成がしっかりしているからだろうか。
第4楽章は早い曲。この曲の最も特徴的な部分は、このフィナーレかも知れない。アクセントが強調されて心地よい響きに身をゆだねていると、何と尻切れトンボのように終わる・・・。唖然。
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