流れるように美しい旋律も、良く聞くとハイドンならではの驚きと変化が随所に散りばめられ、それはそれで聞いていて楽しい作品である。特に全楽章を通して、そこここに現れるフルートを中心とした管楽器は、丸で木のこずえを行き来する小鳥のように愛らしい。
この曲でハイドンはまた違った曲調を試しているようにも思える。第1楽章のやさしいメロディーに続き、アンダンテの第2楽章は、相対的にさほど遅くはなく、朝の散歩のように明るく陽気である。一方第3楽章は民謡風で、やはりフルートが活躍する。全体的に牧歌的でのどかな曲に思える。
ベルリン・フィルを指揮したサイモン・ラトルの演奏も完成度は高いが、このやや目立たない曲にあってはいささか大人しく、真面目である。一方ブルーノ・ヴァイルの指揮するターフェルムジークは、古楽器の音色を活かし、快速のテンポでこの曲を都会的に仕上げながら、陰影を強調している。
第4楽章でリズムが一瞬「溜め」を打って流れていくところが何度かある。木管が絡み、短調になったり長調になったり、速いテンポを追いかけていると小気味よい気持ちがしてくる。
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