2018年6月7日木曜日

JVCのイヤホン HA-FX46

私はSONYの携帯音楽プレイヤーWalkman NW-A16に数多くの音源を入れて持ち歩き、このブログの記事にする音楽を聴いている。これまではPioneerのSE-CL721という3500円のイヤホンを使っていたが、とうとう壊れてしまった。そもそもイヤホンは壊れやすいこと、なくしやすいこと、それに音質に飽きが来ることを想定し、できるだけ安い製品を買うことにしている。1000円クラスでもかつては遜色ないものが手に入ったが、スマートフォンが出始めてからは製品のバリエーションが豊富になり、マーケットが広がって売れ行きが伸びた。高価格の機種には技術進歩が感じられるいいものが出現して選択肢が広まったものの、低価格なものは逆に質が落ちたと思う。

それで、今では3000円くらいのものを選ぶことにしている。この程度なら壊れても、間違って音質が悪くても、それほどショックはないからである。Pioneerはオーディオ・メーカーとして素晴らしい製品を出してきたが、最近はぱっとしない。これはイヤホンでも同じ。一方、SONYはいいものはいいが、価格と性能が比例しない。そして高めである。オーディオ・テクニカにもいいものはあるが、種類が多すぎる上に、いいものは高い。

私のイヤホンに対するこだわりは、①L字型のジャック、②左右がわかりやすい、③絡みにくい、というものだったが、最近はこれに加えて④密閉度が高い(もちろん音漏れしない)、という基準が加わった。Bluetooth型の欠点は、充電をする手間がかかることである。このためBluetooth型はスマホ専用にしており、これだと本体と独立して使用できるが、安い価格で高音質は望めない。WalkmanもBluetoothに対応しているが、 いちいちペアリングするわずらわしさを回避するため、私はBluetooth型(主にラジオを聞く)をスマホ専用とし、Walkmanには3000円クラスのイヤホンと使い分けているのである。

さて、振り返ってみれば私は10年以上前に、当時としてはハイエンドのSONY製イヤホンを購入したが、これは線の素材から絡みが激しく、一度使うたびに長時間の「ほどき」が必要になるうえに、音漏れが激しく持ち歩きには適していない(私は主にクラシックを聞いているので、フォルッティッシモからピアニッシモまで聞かなくてはならない)。一方、Walkmanにはイヤホンが付属されており、これは買うと高い純正のノイズキャンセリング型だが、あまり音質や良くない上に、L字型ジャックでもなく分岐部分が華奢に作られている。 このため壊れたイヤホンの臨時代替用としているのだが、それにしても音質が良くないので、新しいイヤホンを探しに電気量販店へ出かけた。

モデルチェンジが激しいので、どこのメーカーのどの製品がいいのかはその時にならないとわからない。客の少ない平日昼間にWalkmanを持っていき、いろいろ差し替えて試聴するほかはない。1万円を超える機種はやはりいいので、比較の対象とはしない。そうすると試聴可能な最低ランクは、今では2000円以上のものとある。この中から音質が良く、かつ上記の四基準を満たすものを探す。できれば安い機種で。

で、その結果、今回私が購入したのはわずか2000円のJVCケンウッド製HA-FX46という機種であった。ちょっと気分を変えて青色を選ぶ。密閉度が高く、これだと怒鳴りちらす山手線の駅のアナウンスも気にならない。L字型ジャックで、線も絡みにくい。そして何より音がいい!

その音は8000円以上のクラスと変わらないと思われた。少しエコーがかかったように音に奥行きがあるにもかかわらず、低音が出て、しかも濁らない。オーケストラの音が独特のシンフォニックな響きとなる。シャカシャカなることもなく、これだとイコライザーを合わせて様々なジャンルに対応できると思った。

いくつか聞き比べたものの、1万円以下の製品でこれほどいいと思うものもなく、ほとんど一目惚れの状態で買い求め、 家に帰る電車の中で待ち切れず聞いてみた。ベッリーニの歌劇「ノルマ」の前奏曲、マーラーの「大地の歌」、それに大瀧詠一の「スピーチ・バルーン」に至るまで様々に聞いてみた。分離の良さと安定感が素晴らしい。品が良い音は、決して弱くもなく、十分鳴りっぷりいいのだ。確かにもっといいイヤホンもあるが、この価格でこの音質は十分すぎるくらいである。イヤホンが変わると、それまで聞いてきた音楽をもう一度聞いてみたくなる。そういうわけで、私の音楽ライフもまたリフレッシュされた、ということである。

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