長年使ってきたPhilipsのCDプレイヤーCD950の調子が悪い。音は問題なく再生されるのだが、CDを乗せるトレーが上手く動かない。手で操作する必要がある。手で操作すれば一応はなるのだが、そうまでしてCDを再生する気がしない。そこで予備機としてDENON製10万円程のマルチディスクプレイヤーでCDを聞いてきた(今やこの値段では、SACDを再生する機種は手に入らないが、SACD自体が流行らないメディアになっている)。しかもこれも、最近はトラックの選択がうまくいかない、といったような不具合が出て来た。
Philipsは20年以上前、DENONも10年くらい前に、やはり同じような症状で一度修理に出している。その時はまだ部品も残っていて(保証期間、部品保存期間はすでに終了していたが)、何とか戻って来た。後者はSACDの再生にも問題があったが、これも何とか復活した。この2つのプレイヤーが、時を同じくして調子が悪くなったのだから困ったものだった。
だが私にとって最も重大だった問題は、そのようなCDやSACSをめっきり聞かなくなったことだ。最近ではもっぱらCDの音をリッピングしてWalkmanで持ち歩いているし、TouTubeがあれば多くの音源に触れることもできる。インターネットラジオやSportifyがあれば、一日中クラシック音楽を聞いていることもできる(このことは後で書く)。 そういうわけで、最近はCDを処分し始めている。HDDに音楽を保存して、それが終わったものから中古で売るのである。ところがHDD(NAS)の調子まで悪くなってしまった。これはバックアップがあるから、製品を買い替えれば済むのだが、HDD経由でネットオーディオを楽しむためには、ネットワークプレイヤーが要る。私はPoineerのA-30を持っているが、これも最近は調子が悪い。何といっても持っているiPadやスマホでのアプリの動作が、壊滅的に悪い。
今や私のオーディオ環境は、絶滅の危機にさらされている。プリメインアンプと30年近く鳴っているONKYOのスピーカー(は一度ツイーターを交換したが)を除けば、私は満足に我が家で大きな音を出すこともできない。にもかかわらず書棚には1000枚は下らないCDが眠っているし、NASに保存した音源は1TBを越えている。そこで一気にこれらの機器を交換することにした。
まず何としてもCDプレイヤーである。今時、音楽をCDプレイヤーで再生する時代ではない。かといって1000枚余りのCDを捨て去るわけにもいかない。一枚一枚思い出があるので、それらについてこのブログで語り、音源をNASに保存するまでは、CDプレイヤーで再生することも必要だ。けれども最近は、CDプレイヤーの売れ行きが悪化の一途をたどっているようで、そもそも製造しているメーカーも少なく、しかも機種は驚くほど少ない。
私はまたネットワークプレイヤーも調子が悪いので、いろいろカタログをみていくうちに、CDプレイヤーとネットワークプレイヤーが一体となった機種があることを発見し、ほとんどそれを購入する気持ちでいた。YAMAHAやTEACなどから、それらは発売されてる。ところが、何とこれらはもうほとんどモデルチェンジがなく、数年前に発売されたきりで、TEACに至っては在庫があまりないのではないかと思われた。家電量販店のおじさんに聞くと、これらの機種はそれぞれに価格を抑えているため、どちらの機構もマニアには不十分だ、などとあり来たりの話をする。
結局、ネットワークプレイヤーも今では流行らなくなっているらしい。これはハイレゾ音源がまだ普及の途上にあることを意味しているのだろうか。いっそアンプも含めた一体型(ネットワークレシーバーというらしい)を買って、手持ちのアンプにつなごうかと考えたが、これが信号を外部へ出力できないという問題に直面する。 とどのつまりは、一体型は早々に諦めることとなったのだが、CDプレイヤー単体を買い替える必要は、本当になるのだろうかという疑念は、なかなか晴れなかった。
そんななかで、Pioneerは何度も経営危機を迎えながらも、未だにCDプレイヤーを発売していることがわかったのは、上記の家電量販店でのことだ。おじさんの説明はあてにならないので、価格ドットコムばどでいろいろ調べたら、これは実売価格2万円を切るような製品であっても、結構な満足度であることが判明した。他のメーカーといってもYAMAHAくらいしか思いつかない(私はDENON、マランツがどうも気に入らない)。2万円といえば、HDDを買い替えることに要する費用程度にすぎず、来日オーケストラのS席よりも、確実に安い。これで10年はCDをならせるのだから、オーディオ製品と言うのは安いものだ。
とうとうPioneerのCDプレイヤーPD-30AEをネットで注文し、到着するのに1週間もかからなかった。年末に冷蔵庫が壊れ、買い替えたときのポイントがそのまま使えた。そしてこの機会に、スピーカーケーブルとオーディオケーブルを、価格ドットコムの口コミに書かれていた情報をそのまま信用して、BELDEN 8470 16GAというものと、モガミ2534というRCAケーブルに交換することにした。これらはAmazonで数日後に届く。
クリスマス休暇初日の休日に作業開始。朝からオーディオラックを移動させ、背面の配線を一度すべて取り除き、たまった埃を払いながら、年末の大掃除をする楽しい時間!テレビやルーターなども含めて、1日がかりで配線しなおした時にはもう夕暮れ時であった。取り外した機器は4つ(壊れたCDプレイヤー2つとネットワークプレイヤー、NAS)、それに配線の類。これらの新しものに交換し、手持ちのCDをかけてみる。
するとどうだろう。PD-30AEの音は十分な鳴りっぷりを見せ、空間に安定した音楽が漂うではないか。やはり据え置き型だけあって、静音設計がきっちりと施されており、変なノイズが一切ない。それによって音楽以外が極めて静かである。必要な音だけがちゃんとなっているような感じ。それはCDをブルーレイディスクプレイヤーに接続して聞いてみるとよくわかった。少しぼやけた音になっているからだ。
ついでにスピーカーケーブルを以前のものに戻してみたが、これもしっくりこない。RCAケーブルも戻してみたが、やはり輪郭がぼやける。そういうわけで、この3つの交換作業は、大満足のうちに終了した。こうなったらいろいろなCDを聞いてみたくなる。壊れたPhilipsのCD950だけは捨ててしまうのが惜しいので、友人に相談してみたら、なんと彼は修理を試みてくれると言ってくれた。それだけでも十分嬉しいのでそのまま差し上げてもいいという気持であった。
シューベルトの「冬の旅」などは、これまでどんな演奏で聞いてもしっくりこなかった。なんでこの曲が有名なのかも、実際はよくわからなかった。だが今回初めて、新しいプレイヤーで鳴らして十分に感動的な音楽であることを、この歳になって初めて実感した。シュトラウスのワルツをカラヤンの録音で聞くと、しっとりと上質の音楽が鳴り響く。高級なシャンパンのようである。クラシックだけでない。ホコリまみれのわずかなポピュラー音楽のCDも、まるでそこにバンドやボーカルがいるようである。
このCDプレイヤーにはCDの複合化にはオーバースペックなDAC(192kHz/24bit)が搭載されている。その理由はよくわからない。しかもデジタル入力の端子がない。せっかくいいDACを搭載しているのだから、DAC単体としての使い方ができないのは納得ができない。そのことがこの機種に対する不満(というよりは理解不能な部分)である。だがそれ以外は、大いに満足すべき製品であると言える。
(Pioneerにはこれより低位機種のPD-10AEというのもあって、同じDACを搭載している。両者は実売価格であまり差がない。一方、全体の作りはPD-30AEの方がいい。よって私は後者を購入することにした。過去の技術となりつつあるCD再生に対し、これ以上の価格を投じる必要はないだろう)
2019年1月14日月曜日
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