2026年11月8日日曜日

東京都交響楽団定期演奏会(都響スペシャル)(2026年10月31日東京芸術劇場、マルク・ミンコフスキ)

マルク・ミンコフスキが先週に引き続き、都響の指揮台に立った。しかし二つのコンサートは演目がまったく異なっている。前回はブルックナーの交響曲第8番だったが、今回は映画音楽特集、つまりどちらかというとポピュラー・コンサートに近い。

しかし定期演奏会で取り上げる以上、バロックの名手が現代の、主としてアメリカの音楽を指揮するというのは興味深い。このコンサートはミンコフスキが特に望んだものだという点も気になる。サックスを吹いていて「ボレロ」が聴きたいという若い同僚を誘って、東京芸術劇場に出かけた。池袋のコンサートに平日出かけるのは、満員電車に揺られてなかなか大変である。当日券も発売されていたが、私たちは前もって買っていた3階席中央へ、エスカレーターをいくつも乗り継いだ。

このようなコンサートを評価するのは難しい。前半の二つの映画音楽、すなわちハーマンの映画『めまい』と『サイコ』の音楽は、いずれもアルフレッド・ヒッチコックの古い映画に使われたものだ。ヒッチコック独特の不気味なシーンを連想させる音楽に、一気に引き込まれる。『サイコ』のほうは弦楽器のみのアンサンブルだった。

前半最後の作品は、言わずと知れたジョン・ウィリアムズの『スター・ウォーズ』組曲。よく知られた旋律をフルオーケストラで聴くのは贅沢極まりない。ゴージャスな響きを堪能したが、何と指揮者はその中の一曲をアンコールで演奏した。私には、この部分が本日の白眉と思われた。

後半はレナード・バーンスタインのミュージカル『ウェスト・サイド・ストーリー』から「シンフォニック・ダンス」。この作品の音楽が登場した時、それまでとはまったく異なる響きに、多くの音楽ファンは歓喜したことだろう。『ロミオとジュリエット』をマンハッタンに移したストーリーとはいえ、その音楽は斬新なリズムにあふれ、聴いたことのない世界が繰り広げられた。だが、その音楽もいまでは古典である。

もっとたくさんの曲があり、それを歌詞付きで聴きたい気もするが、「シンフォニック・ダンス」も聴きどころ(見どころ)が多い。「マンボ」の掛け声を発する部分では、何と楽団員が全員起立したのには驚いた。だが基本的にはクラシック音楽の聴衆だから、真面目に聴いている。オーケストラは幾分気さくなムードではあるのだが、私にはまだ少しお行儀よく感じられた。もっとスイングしてもいいのに、とは思った。

それはラヴェルの「ボレロ」でも同様だった。一糸乱れぬアンサンブルが次第に高揚し、単純だが迫力のあるメロディーが延々と繰り返されてゆくのを聴くのは、大変楽しい。楽団員は間違えないかと大いに緊張するだろうが、この曲はディスクよりも実演でこそ真価を発揮する。やはり実演で聴く緊張感と迫力こそが醍醐味である。

オーケストラは木管と打楽器を中心に素晴らしいソロを繰り広げたが、全体的には少しミスもあった。それよりも弦楽器は、もう少し味わい深く揺れてもいいのに、と思った。指揮者がもう少しノリを強調する必要があるのだろうが、やはり日本のオーケストラは真面目で、しかも緊張感が伝わってくる。少しくらい外しても、もっと乗った演奏だといいのに、などと勝手なことを思った。

東京都交響楽団定期演奏会(都響スペシャル)(2026年10月31日東京芸術劇場、マルク・ミンコフスキ)

マルク・ミンコフスキが先週に引き続き、都響の指揮台に立った。しかし二つのコンサートは演目がまったく異なっている。前回はブルックナーの交響曲第8番だったが、今回は映画音楽特集、つまりどちらかというとポピュラー・コンサートに近い。 しかし定期演奏会で取り上げる以上、バロックの名手が現...