この灯篭はごく薄いビニールでできた袋をさかさまにして広げ、中に灯を点す。蝋燭によって温めらた空気は灯篭の中に満ちてゆき、静かに手を放すとそれが空中に上がっていくという仕組みである。これをあちらこちらで売っている。ヨーロッパからの観光客もこれを買い求め、その場で火を点けるのだが、これがなかなかうまくいかない。特に風にあおられて火がついたまま落ちてくることがある。そこに人が立っていたりすると、おじさんの頭が燃えそうになるのだ。危ない。慌てて消そうとすると、今度はビニールそのものが燃えてしまう。これをまるで混雑した電車内のようなところでやるのだから、大変危険である。ここの灯篭(コムローイという)はそんな感じである。それでもうまくいく灯篭があちこちにあって、他のビーチでも同じことをやっているから、空中が灯篭でいっぱいになる。この様は見ていてとても幻想的である。
花火もまたあまたの場所から打ち上げられる。その数は大変多く、こちらが終わったと思えばまたあちら、それが終わるとまたこちら、という風に、海岸の東西南北で一斉に打ちあがる。カウントダウンがゼロになったその瞬間を最高潮に、大晦日のイベントが終わると、人々は少しずつ減り始め、私たちもまたホテルへと帰った。ホテルはビーチから10分程度奥にはいったところにあるので、まったく静かである。カエルの鳴き声を聞きながら寝床に着いたのは、午前2時近くだったと思う。また新しい年を迎えることができたことを感謝しつつ、私は部屋から見えるブッダの方向を眺めた。南国で迎えるお正月は、乾いた涼しい風の中で私に心地よい一年の始まりをもたらしてくれた。
0 件のコメント:
コメントを投稿