シンプル・シンフォニー、すなわち「単純な交響曲」というタイトルのこの作品は作品番号が4番ということからもわかるように、ブリテンの初期の作品である。しかも1934年の初演の時からさらに10年以上も遡る習作ピアノ曲からの改編ということである。ブリテンは1913年生まれだから、十代の頃の作品ということになる。そのために、ブリテンの作風からすれば随分と違っている。
まずこの曲は弦楽合奏で演奏されることから、交響曲とはいうものの弦楽セレナーデのような趣きで、しかも第1楽章はメロディーがバロックを感じさせることから、この当時はやりの新古典派主義の傾向を示しているように思われる。とても素敵で私は自作自演で聞くこの演奏が好きである。
第2楽章はピチカートで、どことなく民謡風である。ブリテンの早熟ぶりを感じさせる。ピチカートの楽章と言えばチャイコフスキーの第4交響曲の第3楽章を思い出す。ここの楽章も軽快で、大変素晴らしい。
これまでと打って変わって第3楽章は随分と長い。けれどもセンチメンタルで哀しい感じがする美しいメロディーはなかなかのものだ。ブリテンも少年の頃はこのような曲も書いていたのだと思う。サラバンドとなっているが、シチリアーノと呼ばれる哀愁のこもった曲がレスピーギなどにあるのを連想するのは私だけだろうか。このあと、プレスティッシモ、すなわち急速な曲の第4楽章が続き、あっという間に終わる。
ブリテンはデッカに自作自演の録音を多数残している。これもそのひとつ。必ずしも自作自演が名演とは限らない中で、ブリテンの一連の演奏は長い間、決定的なものとされてきた。録音も良好でこの曲などは、これで十分であると思う。
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