2026年8月16日日曜日

下野竜也プレゼンツ!音楽の魅力発見プロジェクト第13回(2026年8月15日すみだトリフォニーホール)

チケット予約サイトを見ていたら目に留まったのがこのコンサートだった。下野竜也が自ら企画し、司会を務め、新日本フィルを指揮するらしい。すでに13回目というが、私はこのような企画があったことをこれまで知らなかった。よく見ると、今年の出し物はブルックナーの交響曲第4番「ロマンチック」(ハース版第2稿)である。それは何と終戦記念日であるお盆真っただ中の8月15日。真夏にのんびりブルックナーに耳を傾けるのも悪くないな、などと考えた。いわば「レクチャー・コンサート」だからチケットも安い。

まあ素人向けの気さくなコンサートを思っていた。実際、前半に行われた「特別レクチャー」では、ホール前面のパイプオルガンを覆い隠すように大きなスクリーンが設置されている。マイクを持って登場した下野は、まず滝廉太郎の「花」を演奏し、隅田川とブルックナーの関係を説明(!)した。「徹底解剖」というほどのアカデミックな話は一切なく、時折冗談を交えながら、楽しいトークとなった。こういうコンサートなら、オーケストラも気さくにやっているのだろうと思っていた。しかし、後半に行われた全曲の演奏は、素人騙しのレベルなどではなく、ブルックナーの魅力を引き出す大名演だったと思う。うちとけた雰囲気が、かえってオーケストラの気持ちに余裕を持たせ、そのことが演奏を自然な形で立派なものにした。その手腕はもちろん、指揮者にある。

私は今回、前方の真ん中という絶好の位置に座ることができ、真っ白な衣装のオーケストラを壮観に眺めることができた。それは対向に配置され、左右のヴァイオリンがシンメトリックに響く。奥からは低音のコントラバスと管楽器の数々。教会に勤めたブルックナーの音楽には、その対称的な響きが相応しいと考えた。唯一の不満は、前に座った人の背が高く、丁度指揮者だけが見えにくかったことだ。だから音楽に集中した。そしてその音楽は、これまで何度聴いたかわからないこの曲の魅力を、再発見するものだった。

もしかすると下野竜也は、ブルックナーと相性がいいのかも
しれない(すでに「第00番」以外の曲はすべて振っているそうだ)。ただ、この長い曲の魅力を徹底解剖するには、少し時間が足りなかった。ブルックナーの交響曲全体を俯瞰するのであれば、もう少し他の作品や版の違いにも言及してほしかった気もする。いや、これはむしろ、夏休みに地元の方々を招待して行われるポピュラーなコンサートと理解すべきか。まあ彼自身「一切のクレームは受け付けません」とジョークを飛ばしながら、心からコンサートを楽しんでいるように見えた。

新日本フィルは楽団員が若返り、佐渡裕の時代になって技術的に巧くなっているように感じる。最後に来年度の演目を少し演奏したが、それは何とベートーヴェンの「第九」だった。このさわりだけの演奏もなかなか立派だったが、これは行かねばならぬ。思わぬところで見つけた真夏のコンサートに満足した一日だった。

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