
ところがこの曲の第2楽章「アンダンテ」の美しさは、初めて聞いた私の心をキャッチしてしまった。 飾り気ないモーツァルトのもっとも自然で、しかも品を失わない姿がそこにひっそりと存在していたのを発見したからだ。ハ長調のピアノ協奏曲は、このあと13番、21番、25番と続く。第3楽章になっても、丸でソナタ作品を聞くようなそこはかとない雰囲気が心地よい。後年の、音楽史に名を残すようなきら星のごとき作品群ではない素朴なモーツァルトもまた、私は愛してやまない。
背筋がゾクゾクとする演奏だった。2010年の第16回ショパン国際ピアノコンクールの覇者、ユリアンナ・アヴデーエワがラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」の有名な第18変奏を弾き始めた時、それはさりげなく、さらりと、しかしスーパーなテクニックを持ってこのメロディーが流れてき...
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