
がパルマ王立歌劇場である。ここでは「ヴェルディ・ファスティヴァル」なる催しが開催されていて、それは本場のオペラだから「我が音楽」とばかりにヴェルディを演奏する。しかしオペラハウスそのものは、スカラ座やフェニーチェ劇場などの「都会の」劇場と違ってローカルだから、それなりの水準で演奏されているとは思われるが、これまでさして見向きもしなかったところである。
ところがそのパルマ王立劇場で上演された2012年の演目から「アイーダ」が映画上演されるというチラシが手に入り、よく考えて見ればそれは今日ではないか!会場の銀座ブロッサムホールは家から地下鉄で10分くらいだからこれは便利。中央区の公民館のようなところで、何度か行ったことがある。それで雨の中を有楽町から歩いて到着。会場は1000人くらいの大きさだが、当のパルマ王立劇場も1000人くらいの小さな劇場で、もともとオペラというのはそのくらいの小さな劇場を想定して作られている。
会場は平均年齢が65歳はあろうかと思われるような人々でいっぱいで、私は最前列の右寄りに座らざるを得なかったが、スクリーンを見る上では素晴らしい。だが左右に配置された大型のスピーカーは、もっと遠くに向けられているので、右側の音だけが大きい。もう少しスピーカーはうしろに置かれていてもいいのに、と思った。しかもこれでは2チェンネルの音である。せっかくサラウンドで録音されているであろうに、残念である。
映像はUnitel制作のもので、言ってみればインターナショナルなリリースである。そういうわけで、このローカルな劇場が満を持して?届ける「アイーダ」となったのだが、その出来栄えはなかなか大したもので、狭い劇場のやや低予算な演出を補うだけの見せ場も多く、それはそれで新たな発見も多いものだった。
その中でも第3幕の集中度はすばらしい。アイーダはほぼでずっぱりのこの幕で、前半は父アモナズロとのドラマチックな対話である。アモナズロはバリトンのアルベルト・ガザーレで、この歌手の出来栄えが私は最も印象的だったが、観客の評価はどうか、よくわからない。しかしこのアモナズロが出てくると舞台は一気に引き締まり、周りを巻き込んで迫真の演技となっていた。対するアイーダ役はスザンナ・ブランキーニで、容姿の美しさもあり、アイーダにぴったりの役だと思う。
第3幕の後半は、父の命を受けたアイーダが、ラダメスから軍事機密を聞き出すシーンである。ラダメスを歌ったワルテル・フラッカーロはリリカルなテノール歌手に思われたが、悪くはない。ただあまりエジプトの将軍という感じではない。

総じて第2幕の後半から第4幕前半までが素晴らしかった。だが、特に第4幕の最後のシーンは、急に散漫な感じがして、どういうわけかあまり感動が伝わらない。目の肥えた観客席は当初は熱狂というふうでもなく、少ない拍手であることが少し残念だ。第1幕すぐに歌われるラダメスの「清きアイーダ」と、第1幕後半のアイーダの「勝ちて帰れ」は、悪くはなかった。けれども凱旋のシーンは、低予算のためかグランド・オペラとしての豪華さを表現できないのは仕方がないだろう。その反面、第3幕以降では、うしろにナイル川を思わせる夜の水面が建物の背後に映されて、美しい舞台とともに迫真の演技が印象的だった。
全4幕を休憩なしで観るには少々重い。だから幕の間の時間をもう少し配慮すべきだろうと思う。だがそういう不満は抜きにしても、まずはパルマのようなローカルな劇場の公演を、時をそれほどおかずして見ることのできることに感謝しなければならない。次は「仮面舞踏会」だそうで、楽しみである。
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