神護寺が見えてくると、頭の上にお寺の一部が見え、観光客が投げる「からわけ」と呼ばれる陶器のかけらが見えないかと目をこらしたのを覚えている。周山街道、すなわち国道162号線は、京と若狭を結ぶ古くからのルートのひとつで、北山の山中をまっすぐに北上するルートである。私も一度ドライブしてみたいと思いながら、いまだに果たせていない。
このハイキングからさらに数年前、私は祖父に連れられて神護寺へお参りに来たことがある。まだ市電の走っていた頃のことである。国鉄京都駅前から国鉄バスに乗ろうとしたが、あまりに人が多く足の踏み場もないような混雑だったことを記憶している。それほど昔から人の多いこのあたりだが、それはおそらく紅葉のシーズンだったからだろうと思う。

このような名所を経ておきながら、その中間の道はそっけないほどに整備されていないのもまた京都府内の自然歩道である。次の観光地、貴船神社と鞍馬寺につくまでは、何キロにもわたって車道(つまり国道)を歩く。これでは自然歩道ではないか、と言いたくなる無愛想なところがまた京都らしい、などと考えながら、ダンプカーやトラックの行き交う道の端を歩いた。京都もこのあたりはまるで人里離れた山中で、なにやら怪しげでしかも不気味ですらある。
0 件のコメント:
コメントを投稿