そういうオペラの難しさを克服すれば、これほど楽しいものはないと思える。オペラがあることで長生きをしたいとさえ思う。もし時間やお金があれば、毎日オペラを見たり聞いたりして過ごしたいと思う。ではそのきっかけは何だったろうか?オペラとの出会いを振り返ってみたい。
----------

テレビで見たオペラがこれに続く。確か高校生の頃、ミラノ・スカラ座が来日し、カルロス・クライバーの指揮するプッチーニの「ボエーム」を見たのだ。これはFMでも生中継され、その白熱した舞台を聞いた。FM放送では40分にも及ぶインターミッションの時間中、興奮した音楽評論家の談義が終わらず、用意された音楽を中止するといった事態に及んだ。後日映像が教育テレビで放映され、特に印象的な最後のシーン(ミミが亡くなるところ)を鮮明に覚えている。確か演出はフランコ・ゼッフィレッリだった。
NHKの放送ではこの他に、ウィーン・フォルクスオーパーの来日公演でレハールの「メリー・ウィドウ」を見た。興に乗った舞台は大変評判で、この時の指揮者ルドルフ・ビーブルという人はその後も何度も来日したようだが、この最初の舞台は度重なるアンコールに、オペレッタというのはかくも楽しいものかと思わせた。
自分で買った最初のオペラのLPレコードは、カルロス・クライバーのヴェルディ「椿姫」(抜粋)だった。しかし抜粋のLPはどうしても音楽の流れを削いでしまう。後年CDとして全曲盤を買い直したが、「椿姫」はむしろ大学生の時に見たオペラ映画「トラヴィアータ」こそが、私の最初のショッキングな体験であることは、先の記事でも書いた。
この他で記憶に残っているのは、NHKで放送された藤原歌劇団の公演、ヴェルディの「イル・トロヴァトーレ」で、アズチェーナがコッソット。それからウィーン国立歌劇場でライブ収録されたビゼーの「カルメン」。これはあのカルロス・クライバーが指揮をしていて、私はテレビのイヤホンジャックからカセット・テープレコーダーに接続し、モノラル録音して何度も繰り返し聞いたものだ。
大学生になると、NHKが衛星放送というのを始め、オペラの全曲放送がさかんに行なわれた。私には時間があったので、これらの作品はその多くをVHSのビデオ・テープに収録して楽しんだのは言うまでもない。その中で最大のものは何と言っても、パトリス・シェロー演出のワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」 である。指揮はピエール・ブーレーズである。このビデオは何度か放送されたが、私が真剣に見たのはその1幕づつを毎夜放映した時で、この時は自宅の応接間に鍵をかけ、電話その他を一切遮断してステレオ大音量で見入った。最初のワーグナー体験であった。

CDの時代に入ったがオペラの全曲盤は大変に高価であった。対訳がないと台詞もわからない。したがってどうしても躊躇してしまう。ところがあるとき、レンタル・ビデオ屋にクラシックのCDを置いているところがあって、その中でも最大規模ものが大阪梅田にあることを発見した。オペラ全曲をダビングするには、カセットが何本も必要だった。だがVHSビデオ・テープの音声トラックを使えば、3倍モードで6時間も録音できる。この方法で私は、カラヤン指揮のヴェルディ「オテロ」(マリオ・デル・モナコ主演)を録音したが、ヴェルディの後期の音楽は、私にやや混乱をもたらした。音楽だけだとあまり楽しめないのだ。
やはりオペラは実際に見てみないとわからないものである。 そこで次回からは実際に見たオペラ公演を振り返っておこうと思う。すべての公演は良く記憶している方だと思う。いまのうちに書き留めておこうと思うのだ。最初は、ローマでの「トスカ」から・・・。
0 件のコメント:
コメントを投稿