
第1集はロシア物が中心で、他にロシア人の指揮者によるコッテリした演奏がいくらでもあるのだが、ここはサヴァリッシュの演奏で楽しむべきものである。一方、第2集は喜歌劇を中心に、ポピュラー・コンサートである。だがサヴァリッシュの真面目な指揮はこれらの曲を、打ち解けた洒落っ気などほとんどない、実直な演奏として聞かせる。
ここには今ではほとんど聞くことがなくなったエロールの「ザンパ」序曲なども含まれているが、面白いのはサヴァリッシュがもっとも得意としていたモーツァルトやワーグナー、あるいはR.シュトラウスなどの曲が含まれていないことだ。 ウィンナ・ワルツやウェーバーの曲なども、既に録音があるために見送られたのかも知れない。だがそのことがサヴァリッシュをして振らせてみたい曲のオン・パレードとなった。
私はスッペの喜歌劇「軽騎兵」の演奏が聞きたくてこのCD(第2集)を買った。カラヤンの名盤があるのだが、ここではサヴァリッシュが聞きたかったからである。それはこのCDが発売される少し前、NHK交響楽団の演奏会でサヴァリッシュがこの曲を振ったのをテレビで見たからである。サヴァリッシュ・ファンの私にとってこのコンサートは、とても嬉しいものだった。だが当時、家にはビデオがなかった。テレビも1台しかなく、そのチャンネル権は喧嘩の末、弟に奪われた。落胆していた私は、その時とよく似たプログラムのCDがリリースされるのを聞いて、迷わず買うことにした。
このCDは日本の会社で企画され、録音されたようだ。よって東芝EMIから発売はされたが、レーベル名がEASATWORLDとなっている。1枚3000円のCDだったので2枚で6000円だった。そういう経緯があるにもかかわらず、このCDの解説には簡単な曲目の紹介があるだけで、録音に至った経緯などといったものは書かれていないのが少し残念であった。
私はこのCDをテープにダビングして、カーステレオで何十回と聞いた。当時私は毎日のように家の周りをドライブする必要があったので、その時には常に持ち歩いていた。そうすると、それまで聞いていなかった曲までもがサヴァリッシュ風の演奏に馴染み、耳にタコが出来る頃にはすっかりサヴァリッシュの音楽に染まってしまったのだった。ちょっと鈍重な感じの「ルスランとリュドミラ」序曲も、茶目っ気のない「天国と地獄」序曲も、フランス風のエスプリとは無縁の「スペイン狂詩曲も、これで大好きな演奏になったのである。

【収録曲】
第1集
1.グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
2.ボロディン:中央アジアの草原にて
3.ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」
4.カバレフスキー:組曲「道化師」
5.プロコフィエフ:組曲「3つのオレンジへの恋」より行進曲、スケルツォ
6.リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲
第2集
1.スッペ:喜歌劇「軽騎兵」序曲
2.エロール:歌劇「ザンパ」序曲
3.スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
4.スッペ:喜歌劇「詩人と農夫」序曲
5.オッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」
6.ウォルフ=フェラーリ:歌劇「マドンナの宝石」より間奏曲
7.ベルリオーズ:「ファウストの劫罰」よりハンガリー行進曲
8.シャブリエ:スペイン狂詩曲
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