Palm Garden Resortは5つ星ホテルということになっているが、タイやその他の国々の5つ星ホテルと比べるとその違いは歴然である。ここは4つ星クラスと思われる。だが私たちにはそれで充分であった。朝食も必要以上に豪華ではなく、プールも子供連れには十分広いし、すぐそばが海岸で、部屋は広くて奇麗である。私は沖縄の米軍基地内にあったスペース(VOAの中継所だった)を改装したJAL系のホテル、「JALプライベートリゾート・オクマ」に泊った時のことを思い出した。
私たちのホテルの選択基準は、今回も息子のための広いプールであった。子供が騒いでもいい広いプールのあることが第一条件。そしてPalm Garden Resortのプールは、やや変わった形をしており、その一部が子供用として浅く作られていて、広さは他のホテルに比べやや広いと思われた。プールでの日々は今回も忘れられないものとなった。夕方近くになると、泳いでいる人も少なくなり、私たちはプールの一角を占有してWabobaと言われるオーストラリア製のゴムボールを水面に反射させて遊ぶという、日本のプールでは考えられないような遊びを、今回も存分楽しむことができた。一方海は、南シナ海に面しており、波は適度に高く、そこそこ浅い。水も思ったよりきれいに見えたが、実際のところはさほどきれいではないと思う。ビーチ(クア・ダイビーチ)自体は白砂の海岸がどこまでも続き、海岸沿いを散歩すると海辺に面した大衆的なレストランが軒を並べていて、タイのような歓楽的雰囲気を好まない向きには理想的だろう。遠くダナンの町が見え、岬まで見渡せる。
もうひとつのリゾートホテル選びの基準は、ホテル近くの施設である。そしてこれは今回も当たりであった。私たちはホテル内の高価なレストランへは一切行かず、入り口付近に点在するリゾート客目当ての地元のレストランに毎夜出かけた。そのひとつGolden Fishはマスターの男性が片言の日本語を話し、しかも親切で美味しい。カエルの鳴く小さな池の周りで、私たちは毎晩、野菜のたっぷり入ったフォーやベトナム風春巻き、それにバイン・セオと呼ばれるオムレツを食し、ホワイトローズという地元の名物料理も楽しんだ。サイゴン・ビールを飲みながら、ツアーの申し込みをしたり、隣のテーラーに洗濯物を取りに行ったりしているうちに、私たちの素朴で優雅な夜は過ぎていくのだった。色ろりどりのランタンがつるされ、それが池に反射していた。月のあかりが夜のプールを照らし、もうすぐ満月であることを告げていた。
吹き抜けていく風は、夜であれ朝であれ、日本ではほとんど味わうことのできなくなった風であった。毎朝、私たちは朝食をとるレストランで、クーラーの入っていないテラスの席を選んだ。大きなオムレツと大量の野菜の入った麺、それにハムやチーズといった西洋料理をチャンポンに味わうこの国の食生活は、独特の味わいがあった。勿論あの甘くて濃いベトナム・コーヒーを添えるのは言うまでもない。暑い日差しも日蔭に入れば、吹き抜けていく風が快適である。そして今日もまたプール、昼食、プール、昼寝、夕食と続く贅沢な一日が始まると思うと、とても幸福な気分になるのだった。リゾートでの毎日は、この繰り返しにプラスして、少々の観光旅行というのが、ここ数年の私たちのパターンとなっている。
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