この曲の特徴は、ハ長調のモーツァルトだということである。雄大で飾り気のない出だし。第11番や第12番にはなかったトランペットとティンパニが加えられている。だからというわけではないが、この作品はバレンボイムの指揮とピアノ、ベルリン・フィルの最新版(といっても90年代後半の録音だが)で聞くことにした。さすがに壮大で迫力のある演奏である。ピアノも堂に入っていて、達人の円熟味を感じる。ベルリン・フィルの自発的なアンサンブルに乗って、立派な演奏に仕上がっている。録音もいい。
第2楽章は丸で映画音楽のようだ。情報量の多いバレンボイムの演奏で聞くと、安定感のあるロマンチシズムといったものが感じられる。これに対し第3楽章は、初めて聞いたときハイドンの交響曲のようだと思った。アレグロの音楽が突如中断したかと思うと、そこに静かな部分が展開されるのだ。それは何回か繰り返される。この部分、短調で書かれているようだが、このまま先へ進みたい気分を抑制して静かに語りかける。壮麗に始まるこの曲は、意外にも静かに終わる。
この第3楽章は、ひとつのテーマが繰り返し現れるその間に、違ったメロディーが挟まれる。このような、最終楽章によく使われる形式がロンド形式である。A-B-A-C-A-D...という感じである。この曲の第3楽章もまたロンド形式だが、その挟まれる部分がこの曲の場合、短調となってメランコリックに響く。初めて聞いたとき私は正直なところ、その違和感をぬぐえなかった。第1楽章と第2楽章の風格に対し、何か中途半端な感じがしたのだ。だがそのことも含めて、この曲の特徴であると思う。
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