
「驚愕」という日本語を知ったのもこの時である。クラシック音楽というのは、わざわざ難しい言い方をするものだと思った。そして解説を読むと、必ずといっていいほど第2楽章の音響効果について触れている。曰く居眠りを始めるご婦人方を起こしてやろうと、ハイドンはピアニッシモからいきなり大音量を鳴らすという機知に富んだアイデアを思い付いたというのである。優雅で気品に満ちたメロディーは、最初の数小節をヴァイオリンのみで始める。誰もが一度聞くと忘れることがないようなハ長調のメロディーは、そのあと、わざわざ音量をさらに小さくして繰り返す。その音は徐々に消えていき、もう聞こえなくなったと思えるような静かな旋律が終わるや否や、全楽器がいきなりフォルティッシモで主和音を鳴らすのだ。
実は面白いのはこの後である。オーケストラは何事もなかったかのように、そのまま後半のメロディーをエレガントに奏でる。そして私はそのあとに4回繰り返される変奏に心を奪われた。変奏曲の面白さを味わうのは、この曲がまた適していると思う。そしてリズムがはじける第3楽章。クイケンの古楽器の演奏で聞くと、メヌエットは爽快そのもである。ここはアレグロ・モルトなので速い演奏が正しい。小気味よいリズムに心を揺らしていると最終楽章では流れるように進んでいく。ハープシコードが通奏低音を響かせているのも新鮮である。モダン楽器の厚ぼったい演奏で聞いてきた聞き手は、古楽器によるすっきりした演奏で、またこの曲の魅力を再発見する。
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