2012年10月12日金曜日

Pioneerのイヤホン SE-CL721

携帯音楽プレーヤーに好きな音楽をコピーして持ち歩きながら、電車の中や歩く時に聴いている。そのためイヤホンは壊れるかなくなるのが早く、一種の消耗品と割り切って格安のものを使うか、それとも高級品にするか、どちらかにしていた。iPod Classic用に買ったのはSONY MDR-EX90SLで、高いためこちらは家に置いてありもっぱら携帯用ではない。携帯用は最も安い1000円クラスのものを妥協して使うため、これまではSONY MDR-E10LPが定番だった。

SONYのイヤホンを選ぶのは、同じ価格帯では他のメーカーより音質が良かったのに加え、ジャックがL字型に折れているためで、ここがまっすぐだと壊れやすいという経験に基づいている。ところが3年以上も同じものを使っていると、音質に飽きが来て、最近私はほかのものも使ってみたいと思うようになっていた。そこに妻がイヤホンを壊し、何かいいのはないかというので、私の使っていたSONYを譲り、私は別のイヤホンを買うことにしたのである。

久しぶりに電器量販店の売り場を覗くと驚いた。実に多くの製品が売られており、とてもカラフル。数年前に比べても充実ぶりは目を見張る。それだけよく売れている証拠だろうと思う。そう言えばスマート・フォンの普及で最近はイヤホンを付けた人をよく見かける。しかも同じ価格帯では、数年前に比べると音質が向上しているように思われた。単に違う音が新鮮だっただけかも知れないが。

その中で、L字型のプラグと絡まりにくいコード、さらには左右のラインが色分けされてわかりやすいという3つの妥協できない条件をクリアするメーカーとしてPioneerが浮上した。安いものから視聴してみる。すると1500円クラスでなかなかいい音がするのである。ところがこのクラスはコードが少し安っぽい上に、左右で色が同じであり、LとRが見分けにくい。音質はナチュラルでお気に入りだったが、もう少し高いものでも良いと思い、いくつかをためすうち、SE-CL721というのに行き着いた。

このイヤホンは低音の重厚感が売りで、確かに他のイヤホンとの違いは明確である。しかしナチュラルな音のする左右見分けやすいイヤホンはさらに1000円高い3500円クラスとなる。それならいっそ、この重低音を楽しもうではないかと、衝動買いしてしまった。

家に帰ってそれまでに聞いてきた曲をいくつか聞いてみると、その新鮮さは大変嬉しく、さらに左右の分離がとても良い。隅々の音までクリアに聞こえてくれるので、低音だけが強調されてしまったという不自然さが感じられない。つまり高音も悪くない。そして音のキレが高級機なみではないか。数年前なら8000円クラスの音のように思われた。形状が良いだけの、素人向け安物イヤホンは、Pioneerには見当たらない(他のメーカーは試していないのでわからない)。

そういうわけで今ではすっかりこの新しいイヤホンのとりこである。私は古典派の音楽よりは近現代の音楽の素晴らしさに威力を発揮することがわかって、これまでにない音楽の楽しみを享受できそうである。マーラーやブルックナーの、美しいフォルッティシモも、このイヤホンで鳴らしてみたい。そしていくつかのオペラも!

なお、手元のiPodで比べてみると、音楽ファイルの形式により音質の差が感じられる。WAV形式よりもむしろMP3の音源(ただし192kbpsのような比較的高音質のもの)との相性が良いように感じられたのは気のせいだろうか。あるいはWAVのファイルは、それこそナチュラルでかえって個性が際立たないからかも知れない。ジャズもいいが、クラシックも悪くないイヤホンだと思った。

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