2012年6月15日金曜日

ハイドン:交響曲第34番ニ短調(トマス・ファイ指揮ハイデルベルク交響楽団)


この34番の交響曲は1765年の作品とされ、正確に言えば疾風怒濤期の少し前にあたる。そのためか形式が少し古い。第1楽章の冒頭を聞くと、ゆっくりと通奏低音も伴った短調のメロディーが続く。バロック音楽のような雰囲気で、いわゆる教会ソナタと呼ばれている形式に則っている。教会ソナタは、「緩-急-緩-急」の4楽章形式で、第1楽章が重々しいのはそのためだが、ハイドンの手にかかるとどこかに気品が漂う。

この曲が短調なのは、しかしながら第1楽章のみで、あとの3楽章はニ長調となる。第2楽章は明るく推進力のある曲で、これが後の形式における第1楽章のような感じ。この弦楽器のメロディーなどは、何となくモーツァルトを思わせるような高低の差が美しい。

木管のトリオを含む第3楽章のメヌエットを経て、最終楽章に突入するとどこか悲劇的な雰囲気が再び呼び起される。

私はこの曲を、現在全集を目指して快進撃を続けるトーマス・ファイ指揮ハイデルベルク交響楽団による演奏で楽しんだ。4作目となる本CDは2003年の録音で、恐らくは現時点でもっとも新しいこの曲の演奏だろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための協奏曲イ短調作品102(Vn: ルノー・カピュソン、Vc: ゴーティエ・カピュソン、チョン・ミュンフン指揮マーラー・ユーゲント管弦楽団)

ブラームスには2つのピアノ協奏曲、1つのヴァイオリン協奏曲のほかに、もう一つ協奏曲がある。それが「ヴァイオリンとチェロのための協奏曲」という曲である。ところがこの曲は作品番号が102であることからもわかるように、これはブラームス晩年の作品であり(54歳)、すでに歴史に残る4つの交...