2012年6月24日日曜日
ハイドン:交響曲第44番ホ短調「悲しみ」(ヨス・ファン・インマゼール指揮アニマ・エテルナ)
この曲が「悲しみ」あるいは「哀悼」などと称されるには理由がある。ハイドン自身が自分の葬儀ではこの曲を奏でて欲しいと言い、事実その緩徐楽章(は第3楽章である)が演奏されたのである。108曲の交響曲を筆頭に数多くの作品を残したハイドンには、もっと後年の充実した作品がいくらでもある。それを差し置いて、それほどにまで愛着を惜しまなかったこの曲がどのような曲であるか、興味のあるところだ。
同時に、短調で書かれたこの曲は、いわゆる疾風怒涛期の傑作とされている。そのせいか、続く45番「告別」とともに録音も多い。今回、特別に選んだのは、2003年にリリースされたヨス・ファン・インマゼール指揮アニマ・エテルナによる素晴らしい一枚。なぜかこの組み合わせによる交響曲は、これしかリリースされていないようだ。
第1楽章の出だしは、やはり短調特有のほの暗い雰囲気に満ちている。ハイドン版走る悲しみ、という感じだが、落着きを持って進行するので聞きやすい。続く第2楽章はメヌエットで3拍子。第1楽章を受けてそれを深めるような楽章。
第3楽章になって緩徐楽章となる。心がしみ込んでいくような曲だが、若い日を思い出しながら静かに踊るような気品があり、決して陰鬱ではない。今風の古楽器奏法による演奏では、こういう楽章を早くさらっとやってしまう。その心地よさは今となっては引き返せない魅力なのだが、ハイドンの思い入れを体験したいと思う向きにはもう少しこってりした演奏の方がいいのかも知れない、という気がしないでもない。
第4楽章は再び速くなって、一気にフィナーレを迎える。この43番交響曲は、目立たないが全体によくまとまった、安心して聞いていられる曲に思えた。
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