この第40番の交響曲をトマス・ファイの演奏で聞くと、古典派前期とバロックの雰囲気を併せ持った曲であることがよくわかる。アレグロの第1楽章では、通奏低音のチェンバロの響きが活き活きとしていて、そこに木管楽器がすっと絡むあたりは、バッハの協奏曲の発展型のような趣きである。
第2楽章の静かなアンダンテは少しテンポを早めて、単調になるのを防いでいるかのよう。この曲はこの演奏で聞くから面白いのではないか、とさえ思えてくる。ハイデルベルク交響楽団の卓越した器楽奏者と、ヘンスラーの優秀な録音は、このようなほとんど知られていない曲でも決して手抜きをしないばかりか、聞かせどころはどこかを探求し、ひとつの完成した形として再現することに成功している。
CDでは切れ目なく始まる第3楽章のトリオは、何の変哲もない曲だが、自然で優雅。 ハイドンの一種の典型的な曲だろうと思う。だからこのような手抜きのない演奏で聞くと、それなりに嬉しい。特にホルンがソロで出てくる第2部は、なかなかいい。ファイはここでは曲の速さは普通かむしろ遅めで、リズムをしっかりと刻んでいる。この曲を聞きながら、「おもちゃの交響曲」を思い出した。そう言えば「おもちゃの交響曲」は、かつてはハイドンの作品と思われていたことを思い出す。
第4楽章は再び速い曲だが、急ぎすぎずフーガ風のメロディーで、やはりバロックの雰囲気がする。短いが完成度が高く、なかなかいい作品である、と思った。
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