2012年7月3日火曜日
ハイドン:交響曲第52番ハ短調(フランス・ブリュッヘン指揮ジ・エイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団)
連続する音の高低の差は「度」という単位で表すが、例えばハ音と次の二音の間は2度、ホ音との間は3度などと言うことは音楽の時間に習った。この曲を聞いてまず感じるのは、その高低の差、連続する音の隔たりが意識的に大きいということである。
例えば第1楽章の第1主題では、高低を徐々に繰り返していく間にその差は広がり、12度にまで達する。第3楽章でも静かなパッセージながら8度とか、そういった音の上がり下がりが続く。全体に暗いイメージは、確信的な創意の結果であって、意図されたものに違いない。そういう曲をこのブリュッヘンで聞いて見ているが、あまり楽しいとか面白い印象が持てない。何度聞いても同じ結果で、それは演奏の故なのか、それとも曲が持つ本来の性質の故なのか、よくわからない。
専門的な解説書によれば、この曲はベートーヴェンのあの第5交響曲のさきがけとなった名曲だというのである。聞いた感じとのギャップ、それに苦しめられ、音楽を知らない一リスナーが一体何を書き得るのかと迷い始めたために、更新が随分遅れてしまった。疾風怒濤期の作品は、そういう一ひねりも二ひねりもしたものが続くだけに、なかなか苦しい。特に短調の曲は、そうである。
そううわけで、この52番の交響曲を再び聞くことはおそらくないであろう。けれども、どうして今になって聞こうと思ったか。偶然かも知れないが、先日の春の嵐の日のような曲だったから、と思うことにしてみた。もう桜が咲いているというのに、何ともすぐれない毎日なのである。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
第2039回NHK交響楽団定期公演(2025年6月8日NHKホール、フアンホ・メナ指揮)
背筋がゾクゾクとする演奏だった。2010年の第16回ショパン国際ピアノコンクールの覇者、ユリアンナ・アヴデーエワがラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」の有名な第18変奏を弾き始めた時、それはさりげなく、さらりと、しかしスーパーなテクニックを持ってこのメロディーが流れてき...

-
1994年の最初の曲「カルーセル行進曲」を聞くと、強弱のはっきりしたムーティや、陽気で楽しいメータとはまた異なる、精緻でバランス感覚に優れた音作りというのが存在するのだということがわかる。職人的な指揮は、各楽器の混じり合った微妙な色合い、テンポの微妙あ揺れを際立たせる。こうして、...
-
現時点で所有する機器をまとめて書いておく。これは自分のメモである。私のオーディオ機器は、こんなところで書くほど大したことはない。出来る限り投資を抑えてきたことと、それに何より引っ越しを繰り返したので、環境に合った機器を設置することがなかなかできなかったためである。実際、収入を得て...
-
2005年「東京のオペラの森」として始まった音楽祭は、今年でもう21周年を迎えたことになる。2010年からは「東京・春・音楽祭」として、丁度桜の咲く3月から4月にかけての上野公園一帯で繰り広げられる音楽祭として規模も拡大し、今ではすっかり春の風物詩となった。 私は2014年から4...
0 件のコメント:
コメントを投稿