2012年7月11日水曜日
ハイドン:交響曲第59番イ長調「火事」(ニクラウス・アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス)
第59番の交響曲も1768年頃の作品とされる。この年には26番「ラメンタツィオーネ」が作曲されていた頃だから、随分と時代が遡ったことになる。53番から57番が1770年代の後半の作品だったので、むしろ58番と59番がイレギュラーであり、続く60番は1774年と元に戻る。このあと見当違いの番号は残り65番(1769年)のみである。1760年代の後半から続いた「疾風怒濤期」がとうとう終わるということだが、随分多くの作品を聞いてきた割には、この期間は10年にも満たないということがわかる。
第59番は「火事」という刺激的なタイトルが掲げられている。詳細は不明だが、エステルハージ宮殿も何度か火事に見舞われ、またハイドン自身、火事を題材としたオペラ序曲を作曲していたため、そのためではないかなどと言われている(ただし真偽は定かでない)。
この曲はやはり「疾風怒涛」である。何せ劇的な効果こそがこの作品の特徴なのだから。とはいっても最も長い第2楽章を聞けば、美しいメロディーにうっとりする。刺激的なのはそれ以外の楽章で、とりわけホルンがやたら目立つ。この曲はアーノンクールの指揮で聞いてみた。第31番「ホルン信号」以来の登場である。
アーノンクールの演奏は、他の曲でもそうだが、一連のオリジナル楽器派の中では、少し生真面目で面白みに欠ける。刺激的でありながら、ウィーンの雰囲気を出そうとしているようなところがあり、この分野を広めたことには感心するが、かならずしも私の好みではない。ただこの曲はブリュッヘンと聞き比べてみて、しっかりとした骨格とゆるぎない曲想が感じられる。ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスの名演も特筆に値する。快速の第4楽章の心地よさといったら、まるでハイドン版「観光列車」という感じである。
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