この交響曲は目立たないが、なかなか印象の強い曲である。冒頭からティンパニとトランペットが入り、力強い序奏が始まる。主題に入っても効果的な菅楽器と打楽器の組み合わせに、ベートーヴェンの曲を聞いているような感じになる。
第2楽章の、何かとてもロマンチックな感じを醸し出すメロディーもそうだ。もうそこにはバロックの雰囲気はなく、古典派でも後期の、もしかするとロマン派を思わせるような、結構長く続く緩徐楽章で、その充実ぶりはこれまでの作品にはなかったような気がする。一段落したらヴァイオリンが独奏を奏でたり、弦楽四重奏のようにメランコリックになる部分などは、もうハイドン以降の作曲家の作風を思わせる。もちろん、そのあとはまた合奏にもどり、しばしの余韻を残して終わる。
第3楽章は再びティンパニ付きのメヌエットになる。歯切れよく全員で打ち鳴らすメロディーと、少数の弦楽器で同じ旋律を繰り返す部分が交互にあらわれるあたりは、やはり充実した響きを持つ。
プレストのフィナーレは快速にして明るい音楽だ。全部で30分にもなろうとするこの交響曲の最後を飾るにふさわしいが、それにしても音楽の充実度が、この53番、54番あたりから急上昇しているような気がするのは気のせいなのか。やはり一息ついたら転調して展開部を進めたり、フーガ風のクレッシェンドなどを散りばめるあたりは、もう古典派の王道である。

ハイドンはこのあたりで自信を深めたに違いない。あるいは、ティンパニとトランペットを後から追加して、自分の確立した作風に仕上げなおしたと見るべきなのか。
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