ハイドンが古典派交響曲の作風を確立して、いよいよ名曲が続くようになる一歩手前で、その後の数多くの作品に比べるとどうしても一歩目立たないために、ちょっと損をしているような作品である。A=フィッシャーによる全集からの演奏は、充実していて大変素晴らしい。序奏のない第1楽章の冒頭はとても印象的。どこがどうということはないが、充実した響きである。高速で駆け抜けるこの演奏は、ビブラートを押さえた古楽器の音色がとても新鮮だ。
さらにこの曲でもっとも素晴らしいのは第2楽章かも知れない。低音はチェロの響きだそうだが、最初はコントラバスかと思った。この音楽を聞いていると、穏やかな春のような気持ちになる。第3楽章のメヌエットは基本的な3部形式でトリオを伴う。今回はファゴットとヴァイオリンである。第4楽章はリズム処理が面白いが、優雅な部分もある。どこか中途半端でもあり、そのあたりがこの曲の魅力を少ないものにしているのかも知れない。
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