2012年7月17日火曜日

ハイドン:交響曲第64番イ長調「時の移ろい」(アダム・フィッシャー指揮オーケストラ=ハンガリー・ハイドン・オーケストラ)

いわゆる「オペラ多作時代」は1776年から始まるとされている。第61番から第63番まではこのカテゴリーに入っていて、音楽は明朗快活だった。ところが第64番は1773年以前に戻る。長調で書かれているにもかかわらず、何か意味有りげな雰囲気で始まる。長い第2楽章に至っては、弱音器をつけた弦楽器が何分もの長さにわたって続く。

タイトルが「時の移ろい」となっているが、これはハイドンが付けたものではないらしい。ただ全体を通してどちらかというと内省的な気分にさせられる曲である。これはやはり61番から63番までのような曲調とは明らかに違う。はやりなのか、それともハイドンの作風の変化なのか、よくわからない。

第3楽章のメヌエットも、ダンス音楽という雰囲気ではなく、終楽章もただ速いだけの音楽ではない。かといってこの曲が残す印象は、それほどインパクトがあるわけでもない。フィッシャーの全集から聴いているが、演奏自体は普通である。iPodに持ち出して電車内で聞くと、まわりの雑音にかき消されて、どのような音楽だったかよくわからない。第2楽章の全体と、各楽章の弱音部分が聞き取れず、なにか中途半端な印象を持たざるを得なかったというのが正直なところである。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための協奏曲イ短調作品102(Vn: ルノー・カピュソン、Vc: ゴーティエ・カピュソン、チョン・ミュンフン指揮マーラー・ユーゲント管弦楽団)

ブラームスには2つのピアノ協奏曲、1つのヴァイオリン協奏曲のほかに、もう一つ協奏曲がある。それが「ヴァイオリンとチェロのための協奏曲」という曲である。ところがこの曲は作品番号が102であることからもわかるように、これはブラームス晩年の作品であり(54歳)、すでに歴史に残る4つの交...