第1楽章の冒頭の序奏を聞くと、それまでとは違った印象を受ける。木管の和音に弦楽器が乗って、何か意味ありげな行進である。ハイドンの交響曲をここまで聴いてきた印象では、ここでまたひとつハイドンの作風が飛躍したな、という印象を受ける。
久しぶりに趣向を変えてオルフェウス管弦楽団による演奏で聞いている。メリハリの聞いた刻みとともに弦楽器の重なる音がピチカートでない!アダム=フィッシャーの演奏ではここがピチカートなので、演奏の違いも大きい。本当はどちらが正しい?のだろうか。よくわからない。
第1主題が始まる。ソナタ形式の古典派の音楽が、安定感を持って始まることが何とも嬉しい。揺るぎない形式がここでは確立され、自身たっぷりな様子である。時おりホルンが聞こえてきて素晴らしいアクセントとなっている。モーツァルトはこのような古典形式をさらに優雅に表現し、ベートーヴェンではもはやこのような音楽は見られない。
第2楽章は何か「驚愕」のメロディーを思わせる。もしかするとその原形ではないの、とさえ思ってしまう。第3楽章は3拍子だが、アクセントの置き方がどこか風変わりである。単なるメヌエットではない感じで、そう言えばベートーヴェンは交響曲第1番で「メヌエット」と言いながらスケルツォを書いたことを思い出す。
第4楽章は歌劇「報いられた誠」の序曲だそうである。ここでいきなりティンパニとトランペットが入ってくいる。別の曲であるにもかかわらず第4楽章の雰囲気に相応しい。70番代で唯一標題付きのこの作品は、大変立派な作品である。
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