2012年1月18日水曜日

プーケット・香港への旅-嗇色園黃大仙廟

まだ啓徳空港があったころ、着陸間際にかすめて通る九龍城は「東洋の巣窟」などと言われ、どこの主権も及ばない悪の不法地帯だと言われていた。実際、日本から到着した矢先に観光バスでこの近くを通り、「このように香港は危険なところです。決してひとりで歩かないように」などと脅されたものだ。実際に近くからその城壁を見ると、何とまあよくこのような建物に多くの住民があるものだと感心したものである。当時、不法な移民が数多く住み、違法な取引が横行していたようだ。

だが香港返還を前に九龍城も取り壊され、その後には観光スポットとして蘇ったというから時代は変わるものである。その九龍城を過ぎて最初のMTRの駅である黃大仙は、プラットフォームを上がると寺院に直結している香港でも有数の観光地である。

おおよよ合理的で功利的な香港の街であっても、風水をはじめとするパワースポットは数多く存在し、その調和も興味深いのだが、ここの寺院でも熱心なお祈りをしている地元の人をみていると、香港人はお金だけを信じているわけではないことがよくわかる。その向こうには高層アパートがいくつもそびえたち、香港らしい風景を醸し出している。

周りには運勢を占う数多くの占い師がブースを構えている。日本語や英語の通じるところもあるようだ。たいていパソコンが導入され、生年月日を入力すると運がいいとされる数字や方向、職業や家族関係、好調な年と年齢などが示されるようだ。つたない言葉で占ってもらうよろいも、このソフトを買ってきたほうが楽しいかも知れない。

MTRを引き返し、久しぶりに尖沙咀の中心街である彌敦道へ出てみた。ここは私にとってもいつも訪れるところである。ところが、かつてよく通った重慶大厦の前にいたのが気が付かなかったほどにそこは変わっていた。まず空が見える!それだけあの街を覆っていた二階建てバスすれすれの看板が取り払われ、両サイドはきれいに整備されていた。何ともいかがわしい街だった彌敦道の東側にも大規模なビル(ハイアット・リージェンシー)が立っており(2007年オープン)、垢抜けた街に変貌を遂げていたのだ。ハイアットなど、かつては彌敦道に面していて、部屋は広いものの窓からは看板しか見えないホテルだったのだが・・・。

これには驚くと同時に、やはり香港らしさが消えていったような気がした。そう言えば海に面していたペニンシュラ・ホテルは、今ではその前にできた文化中心に視界を遮られているが、これはだいぶ前の話。そしてスターフェリー乗り場へ向かう途中に出現したのが1881ヘリテージという、これまた高級なショッピングセンター兼ホテルである(2009年オープン)。ホリデーの時期ということでか、すべからくギラギラに装飾が施され、その綺麗なこと!

定番のスターフェリーには今回も乗って、中環までのわずか約10分程を夜景を見て楽しんだ。香港島の摩天楼は私のこなかった十数年の間にものすごい勢いで発展していた。こんな高い建物を立てて大丈夫だろうか、などと竹組で建築中だった中国銀行タワー(367m、70階、1990年)や、独特の形をした香港上海銀行、それに中環廣場(374m、78階、1992年)などもはや影の薄い存在になり、 いまでは中環と上環との間にそびえる中環中心(346m、73階、2008年)、スターフェリーの降り場にそびえ立つ国際金融中心(415.8m、88階、2005年)が他を圧倒してその存在感を誇示している。

さらに目を九龍側へ転じると、そこには再開発中の西九龍地区(埋立地)があり、環球貿易広場(484m、110階、2010年)がその威容を誇っている。もちろんこれらのビルというビルが新年に向けてのカラフルな電球(LED?)で装飾され、時々色が変わるなど見ていて飽きない。そのカラフルな光の海を渡ることは、いつ来ても香港観光の目玉である。

中環でスターフェリーを降り、歩道橋をわたって山側へ向かう。かつての寂れた雰囲気はなくなり、香港駅の上にあるIFCモールには、巨大なApple Storeが物凄い多くの客を呼び込んでいる。その光景は写真に収めたくなるほどだ。ここから中環の主だった地域にはすべて歩道橋でつながっているのも驚いた。ビルというビルが超高級なブランドの店で埋め尽くされている。ビルの内部にはクリスマスツリーやジオラマの展示など、デフレの日本には見かけなくなって久しい飾りが、これでもかこれでもかと続く。チョコレートでできたクリスマスツリーの前で写真を取る家族連れを見ていると、景気のいい中国は羨ましくさえ思えてくる。

中環からトラムの通りを過ぎると、若者も集まるカジュアルな地域となる。坂が急になりはじめると、歩道はエスカレータとなって坂を登っていく。香港の中でもっともいま最も楽しそうなスポットは、ここから始まるのである。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブラームス:「ハイドンの主題による変奏曲」変ロ長調作品56a(クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮クリーヴランド管弦楽団)

ブラームスの今一つの管弦楽作品「ハイドンの主題による変奏曲」は、ハイドンの作品を元にしたものではない。ハイドンの作品とされていた頃のディヴェルティメント第46番変ロ長調Hob.II.46の第2楽章を題材としている。この曲は「聖アントニウス」というタイトルが付けられているように、古...