
ミミはルーマニア人のアンジェラ・ゲオルギュー、ロドルフォはメキシコ人のラモン・ヴァルガス、ムゼッタはアインホア・アルテタ、マルチェッロに リュドヴィク・テジエである。指揮はニコラ・ルイゾッティで、先日みたプッチーニの「西部の娘」の公演でも記憶に新しい。
この公演の見どころは、一にも二にもフランコ・ゼッフィレッリの演出である。私が1981年のスカラ座来日公演で初めて見たオペラが、クライバーの「ボエーム」だったことは前に述べたが、私はこの時を最後にゼッフィレッリの伝説的演出には接していない。カラヤンの映画でも、レヴァインのビデオでも登場する演出だが、どういうわけか私は見ていない。これは遺憾なことで、第2幕の豪華な2階建てカフェのシーンなど、見た人はみな「すごい」などと言うのだから、見ていないとこのようなブログを書く際にも何か抜け落ちている感じがして仕方ないのである。
さてその舞台だが、確かに豪華で見ごたえがある。だがテレビで見ていると、いくら大画面とはいえ実演や映画館で見る様子とはかなり異なることが、今回よくわかった。オペラ自体をテレビで見られるようになった時は、それは感動的で、放送されるたびに片っ端からテープに録画したものだし、LDやDVDで登場した際も、その画質に惚れ込んで、いくつかの作品は発売日を狙って購入したものである。でも、いずれの方法をとってもオペラの魅力の何割かしか伝えられていないということだ。
まあそれでも実演に接することは、日本にいると結構難しいので、テレビ放送は有難い。無料放送というわけだから文句を言うのが筋違いではある。テノールのヴァルガスはなかなか好演しているし、ゲオルギューもいい。しかし、今回の公演で良かったのはムゼッタかも知れない。第2幕のワルツのシーンは、大変わかりやすい。非常に多くの人が2階建てのカフェに集い、動物や軍隊行進、さらには少年合唱も印象的。逆に他の演出をよく知らないし、これだけ豪華な歌手を揃えているのだから、通ぶった批評はしたくない。私はまたもやボエームに見とれ、聞き惚れて泣き、多くの新たな発見もした。
第4幕は第1幕と同じ舞台で、一軒家風の一室だが屋根裏部屋のみをホームドラマ風に切り取って強調している。ベッドで横たわるミミを見ているときに、昔見たシーンを思い出した。メトの広い舞台でも、その中にに作られた家の中という、わざわざ狭い場所で演じられる舞台は、第2幕や第3幕の広くて豪華なシーンと対照的である。映画の一シーンであるかのような強調によって、客席も集中力を維持し易いように感じた。古典的なカーテンコールによって登場した主役の歌手たちには、惜しみないブラボーと拍手が送られて、やはり歌劇はいいね、と思うのであった。
(2011/10 WOWOW)
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