2012年4月4日水曜日

ベートーヴェン:交響曲第2番 ①ロジャー・ノリントン指揮ロンドン・クラシカル・プレーヤーズ

いわゆる古楽器奏法の中でも、今では古典的な部類に属するロジャー・ノリントンの旧盤は、1987年のリリースである。ヒストリカルな録音でもなく、最新盤でもないこのような演奏のCDは、もう廃盤になっているか、そうでなければ大幅なディスカウントにより廉価発売されている。この演奏もノリントンがシュトゥットガルト放送交響楽団を指揮した新録音が出たことにより、割を食ってしまったと言える。私もとある中古屋でたった200円ほどで手に入れたぐらいだが、これは大変な名演奏で、この地味な作品に新たな風を吹き込んだ「歴史的な」演奏である。

その第2番の演奏で、私がもっとも惹かれているのが第2楽章である。かつてのルバートを多用した演奏とは違い、古楽器系の演奏は快速で変な情緒がない。それは全くといっていいほどあっさりしているので、初めて聞いたときは「これが音楽か?」と感じたものだ。ビブラートに代表されるように、あるいは演歌のように、メロディーはたっぷりと抑揚を聞かせ、時には音を震わせて「歌う」、それが「音楽というものだ」と音楽の時間にならったか、あるいは知らず知らずのうちに思い込んでいた。

だが最近の演奏は、その考えを裏切る。けれども慣れてしまえばこんなに清々しい演奏はない。丁度春が来てコートを脱いだ時のように、新鮮である。この演奏で聞くラルゲットは、ベートーヴェンが指定したメトロノームの指示に従っている。ピアニストだったベートーヴェンはもしかしたら、このような速い演奏を思い描いたのかも知れない。その速度指示がCDの裏面に表示されている。

この曲の第2楽章を聞くと、一日中頭の中で鳴っている。だが、第1楽章と第4楽章の迫力も実に堂々としたものだ。この両端楽章は、私はとても充実していて完成度が高いと思う。これにラルゲットとスケルツォが加わって、大変魅力的な作品が第2番だ。ノリントンの演奏は、その新しい魅力を伝えてやまない。

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