2012年4月15日日曜日

ベートーヴェン:交響曲第7番 ②トーマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(57ライヴ)

ベートーヴェンの交響曲を1曲づつ取り上げ、最初のサイクルでは曲に関する思いを述べ、最新のお気に入り演奏(は同時にピリオド楽器もしくはピリオド奏法である)を1枚づつ紹介した。今回の2サイクル目では主として演奏の観点から、各曲2つずつ取り上げている。一つ目(①)は、主に私が生まれる1966年以降の、まだ古楽器奏法が主流になっていなかった頃の演奏から、二つ目(②)ではそれ以前の、いわゆる歴史的な録音から取り上げている。

第7番の歴史的録音で、私は1960年の若きコリン・デイヴィスがロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したEMI盤(は、その後に登場する2組の全集・・・ロンドン交響楽団、シュターツカペレ・ドレスデンとは違うものである)を取り上げるつもりでいた。しかしデイヴィスだけが2回登場するのもどうかと思うし、存命中の指揮者を「歴史的」というカテゴリーに含めるのも違和感があった。ところが、我がCDラックを眺めていたら、同じロイヤル・フィルを、その創始者であるトーマス・ビーチャムが指揮したものが見つかった。

さっそくこれを再生してみたら、録音も良く、演奏もなかなかのものだった。それが何と1957年10月のスイス・アスコナでのライヴ録音で、音源はどうやらスイス・イタリア語放送協会である。ここの放送局には、シェルヘンなどがいた有名なオーケストラがあるし、何と言っても国際的な保養地である。私も学生時代に旅行して、素敵なところだった。そういうわけで音楽祭も開かれ、各地の演奏家が名演を残しているというわけである。

CDは10枚組で、シェルヘンやフルトヴェングラー、クナッパーツブッシュなど錚々たる演奏家が登場するが、その中でもビーチャムの演奏は大変録音もいい。その中からベートーヴェンの交響曲第7番があったのは嬉しい発見だった。冒頭から何とも言えない大らかで、しかも気を衒わない演奏が始まる。古き良き時代の演奏の薫りである。第2楽章の懐かしいようなテンポと、メランコリックに響く木管楽器、そして大時代的とも言えるような弦の刻みとアクセント。ベートーヴェンの第7番はかつてこのように演奏されていたのである。私も懐かしさでいっぱいの気持ちになった。

思うにディスクによるクラシック音楽の楽しみには、大きくわけて2つある。1つは最新の録音の聞くことで、演奏にも流行があり、その中での発見も多い。だがもうひとつは歴史的な演奏を掘り出すことである。レコード屋に行けば、このような最新リリースのコーナーと並んで、歴史的録音のコーナーの充実ぶりに目を見張る。得体の知れないレーベルも混じって百科騒乱の装いである。それが古いSP復刻盤であっても「新譜」となれば案外に値段が高い。でもこれらの、まだ自分が生まれるよりも前の演奏からも、新譜にはない発見があるのだからクラシック音楽の楽しみは尽きないというわけだ。

さて第7番の演奏もこれを書くうちに第3楽章になった。古い演奏なので繰り返しは省略されているが、それでも第7番の演奏ではこの第3楽章が長い。しかし先を急ぐ必要はないので、ここは悠然と味わっておくべきか。この第3楽章は7分強の第4楽章より長い9分もある。

70代になっていたビーチャムは第4楽章の後半の部分でいきなり速度を速め、フーガに突入する。そして春の嵐が駆け抜けていくようなさわやかさで、締めくくられる。拍手も収められて、演奏は盛況のうちに終わる。なかなかいいCDを買っていたものだと嬉しくなった。なお、余白?にはヘンデルのバレエ組曲「バースの愛」、ディーリアスの「楽園への道」など洒落た演奏が収められている。これも古き良き雰囲気を持ったいい演奏。

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