2012年4月24日火曜日

NHK交響楽団第1725回定期演奏会(2012年4月20日 NHKホール)

ノリントン指揮のN響公演があまりにも良かったので、私は次のCプログラムにも出掛けた。金曜日の夕刻、会社をあとにして原宿駅に降り立つ。少し肌寒いが、雨は降っていなかったので、少し時間があるため代々木公園を散策した。この公園は何度も近くを通っているが、中を歩いたことはほとんどない。iPodに入れた音楽(もちろんベートーヴェン)を聞きながら、噴水前のベンチでしばしたたずむ。都市公園の心地よさと都会の喧騒を離れてまわりは木々しか見えない広さで、大変リラックスした。思えばここ数日の仕事は、毎日がトラブル続きで私はほとんど緊張を強いられていた。

橋を渡ってNHKホールへ向かい、自由席を購入して3階へ上がるが、前回と異なって客席がかなり空いている。今日のプログラムはベートーヴェンの序曲「レオノーレ」第2番と交響曲第4番、それにティペットの交響曲第1番という組合せである。今年になって2度目、通算223回目のコンサートである。ノリントンは3回目。テレビ録画あるのかカメラの設置も行なわれている。時間があったので、エビスビールを500円で飲むが、これが実に美味かった。

序曲「レオノーレ」第2番は、歌劇「フィデリオ」(となる歌劇)のために書かれた4種類の序曲のうち最初の作品で、より有名な第3番の出来損ないのような作品である。出来損ないというのは言いすぎかも知れないが、ベートーヴェンも何度も書きなおしているので、そう思っていたのかも知れない。第3番と同じフレーズが時々出てくるが、第3番ほどの凝縮した音楽ではなく、何とも締まりの悪い習作風である。だがそこが面白い。ベートーヴェンはあの一切の無駄を排した、ほぼ完璧とも言える音符の連続を、最初から書くことができた作曲家ではなかった。それでこの第2番を聞く楽しさは、あのベートーヴェンもこのような曲を書くことからスタートしたのか、と思いながら、いわば「作曲のプロセス」を体験できることだ。

結果的には第3番でも満足せず、さらに第1番を作り、最後には「フィデリオ」序曲に落ち着いた。もちろんオペラそのものもかなり書き換えられていくので、「フィデリオ」はベートーヴェンの創作のライフワークとも言うべき性格の作品となった。それが楽しくない作品であるわけがない。だが、「フィデリオ」については別に書こうと思う。

交響曲第4番を聞きたかったのが、このコンサートへ出掛けた直接の理由だった。だが、期待は半分程度しか満たされなかった。ノリントンの第4番はもう少し遊びがあってもいいと思った。第2楽章のスピード感は全体の白眉だが、それ以外の部分では、先日聞いた「英雄」ほどの興奮が伝わって来ない。

最後のティペットは、何と表現していいのかわからないのだが、英国のこの時代の作曲といえば、何と言ってもエルガーやウォルトンで、そのような退屈一歩手前の音楽にさえ到達してはいない。まったくもって印象に残らない作品で、ショスタコーヴィッチのような感じも時々したが、それでおしまいであった。総じてイギリス音楽は楽しかったことがないが、それを地で行く作品である。

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