2012年2月24日金曜日

オーディオ関係の簡単な書物

マニアックな楽しみの多いオーディオだが、初心者にもわかる簡易な読み物はそれほど多くない。ここで紹介するのは、その中でも最近になって出版されたものである。特に新しい携帯音楽プレーヤーやサラウンド、それにネット・オーディオ関係の内容は整理された形でまとまっているものが少ないので、貴重である。技術の進歩が早いので、最新の情報はネットに頼るのが近道だが、様々な情報が錯綜しているので、やはりオーディオ雑誌が頼りになるだろう。ネット・オーディオの専門誌も発刊され、静かなブームとなっているように思う。

(1)「やっぱり楽しいオーディオ生活」(麻倉怜士、アスキー新書、2007年)

ネット・オーディオが流行る直前は、オーディオ趣味というものがかなり下火になっていた。本書はそのような人に、再びオーディオに興味を持ってもらうための、わかりやすい案内書となっている。特に携帯音楽プレーヤーに触れている部分が新鮮で、音質のいい音楽をうまく聴く具体的なアイデアが紹介されている。ネット・オーディオに触れてはいないので、古くなってきたが今でも十分説得力のある内容である。なお著者は「レコード芸術」誌などにも定期的な記事のあるオーディオ評論家。




(2)「大人のための新オーディオ鑑賞術」(たくきよしみつ、講談社ブルーバックス、2009年)

PCを核としたデジタル技術が、オーディオ分野に浸透してくるに連れて、音楽鑑賞の方法も随分変わり、そして必要となる知識も増えた。そのようなものの変遷と、どういうことに知っておけばいいかということをわかりやすく教えてくれる本書は、ネット・オーディオへの入門書でもある。デジタル技術を取り入れることで、それまでアナログ中心の世界だったオーディオが、具体的にどのように変わるのかを明確に、そして熱意を持って語られている。(なお著者は原発事故の避難地域に住むため、最新刊は「裸のフクシマ」)



(3)「いい音が聴きたい 実用以上マニア未満のオーディオ入門」(石原俊、岩波アクティブ新書、2002年

本書もまた2000年代になってから刊行されたオーディオ趣味のためのガイドである。少し古くなったが、 本書の内容はむしろこれまでの技術、たとえばアンプやスピーカーなどの配置や結線の方法など、常識とされている内容を平易に語っているところだろう。その意味で、オーディオ初心者にはわかり易く丁寧である。なお、著者は音楽評論家なので、クラシック音楽のディスクについても詳しい。そのあたりが本書の魅力でもある。





(4)「音楽がもっと楽しくなるオーディオ『粋道』入門」(石原俊、河出書房新社、2005年)

同じ著者が、今度はもう少し音楽の方に重心を置いて語ったオーディオの本である。オーディオにこだわるクラシックの愛好家が、ではどのような再生装置でどのような音楽を聴くか、そのモデルを取り上げ、オーディオと音楽の両面から話題を展開する。ユニークな視点で書かれているので大変興味深いし、こういう本が読みたかったのだ、という人も多いのではないか。そして、結局のところはオーディオも、音楽の趣味の一部なのだということが熱く語られており、共感を覚える。




(5)「高音質保証!麻倉式PCオーディオ」(麻倉怜士、アスキー新書、2011年)

(1)の著者による最新のPCオーディオガイド。PCオーディオの基礎知識と勘所を詳しく紹介している。初めての人には少し難しいところもあるかも知れないが、今もっとも簡単に手に入るガイドだろう。製品の紹介もされているが、こういうあたりはすぐに古くなるし、新書の企画としてはどうかとも思うが、早めに手にとってキャッチアップすることで、他の書物や雑誌へのアプローチが楽になるだろうと思う。

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