毎日悲惨なニュースに接していると、ふと音楽でも聞きたくなるものだ。今月になってどういうわけか、かつて流行った歌の「なごり雪」を聞いてみたくなった。
最近私は毎日朝昼晩とニュースを聞くことが日課になっていて、お昼はNHKのFM放送を聞いていた。ニュースが終わってご当地ソングを特集した番組が放送されるのだが、その日はもうニュースの時間が通常に戻り、そして北海道や東北地方の音楽が流れていたのだ。「知床旅情」や「北国の春」といった歌謡曲である。イヤホンでそういう他愛もない曲に耳を傾けながら、これは被災地の人の癒しにも貢献しているだろうな、などと思った。番組が終わって、どういうわけか私の脳裏にある歌詞が思い浮かび、そしてそれが離れなくなった。
汽車を待つ君の横で僕は、時計を気にしてる。
季節外れの雪が降ってる。
東京で見る雪はこれが最後ねと、寂しそうに君がつぶやく・・・
この歌はイルカの代表的なヒットソングだが、あまりこの手の曲を聞かない私は、いまだかつてちゃんと聞いたことはない。それでもこの有名な歌詞は、寂しげに桜の咲いている丁度今年の春にぴったりと合っている。だから私の心に響いたのだろうか。

「東京で見る雪」という部分と「汽車を待つ」という部分が同居していることに違和感を覚える向きもあるだろう。だがそんなことよりこの歌は、春によくある別れの歌である。今年は寒い冬がいつのまにか春に変わり、気がつけば桜が咲いていた。思えば日本人は古来より、散りゆく桜に思いを寄せ、春を迎えた喜びよりも時が移ろう寂しさに感性を研ぎ澄ませてきた。
こうなったらこの歌を手持ちのiPodに入れて聞きたいものだ。そこでiTunesにアクセスすると、多くの歌手のアルバムが一発で検索できた。どういうわけかオリジナルのものがないが、こういうときそれぞれの歌手のアルバムを比較試聴して購入できるところがオンライン販売のいいところである。私は各ファイルを聞き比べ、比較的新しくダウンロード回数の多い徳永英明のものを購入した。
今年の春は晴天が多い。朝、新緑の季節がまぶしい街を会社へと向かう道の中で、私の耳元に少し季節遅れの歌が響く。これを聞きながら震災の被害を思うわけではない。まだ福島の災害は進行中である。けれども次第に明るさを増す春の日は、私の心を少しだけ豊かにさせた。
動き始めた汽車の窓に顔をつけて、
君はなにか言おうとしている。
君の口びるがさようならと、動くことが
怖くて下を向いてた。
時がゆけば幼い君も、大人になると気づかないまま、
今春が来て、君はきれいになった。
去年よりずっときれいになった・・・
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