ベートーヴェンの交響曲について語ることは、その他の音楽について語ることよりもはるかに多くのエネルギーを要する。おいそれとは書けない文章を、これまでは避けるようにしてきたし、その他の音楽についてのみ書いてきた。だがいったいいつになったらベートーヴェンについて語る時が来るのだろう?
平成23年3月11日に起きた東日本大震災は、我々の生活がいかに脆弱な上に成り立っているかを改めて知らされた。はかない我々の生活にとってもっと大事な事は、今を十分に生きることである。だとすれば大好きなベートーヴェンの交響曲について今でも何か書けるのではないか。ただ一人の極東に住む現代日本の愛好家に過ぎない私が、こともあろうに「あの」ベートーヴェンについて語ることができる、しかもそれをインターネットを通じて発信することができるというのは、信じられないくらいにスリリングである。
私のベートーヴェン体験について、ちょっと恥ずかしながらもこれから書いていく。それも交響曲について。音楽家のみならずファンの多くが、ベートーヴェンの交響曲について語り、その演奏について書いている。そういう状況を知りながら、なおも私がそこに参加する必然性は、何もないかも知れない。だがベートーヴェンは自らの音楽が、全世界の全人類に聞かれることを望んだはずである。だから私は、せめてそのお礼を言いたい。ベートーヴェンが生きた19世紀初頭とは、200年もの歳月を隔てて、それでもなお共感を感じずにはいられない現代人の思いを、少しは文章にしておきたいと思う。
ベートーヴェンの9曲ある交響曲の何をどのように語るかについて、私もこれまでいろいろと考えてきた。これはブログなので、もっと気楽に好きなように書けば良いのかも知れない。楽譜も読めない一愛好家が、これはいい、あれはいいなどと言った所でたかが知れているのである。だから、これから紹介するのは一個人が勝手に考えるベートーヴェンの音楽とその演奏についてである。毎日1曲づつ、現在もっとも好きな演奏を取り上げつつ9日間で第9まで行こうと思う。
ただベートーヴェンの演奏のディスクは、古いものまで含めれば100枚を遥かに超え、私のCDコレクションの最も大きな部分を占める。そういうわけで、2回目のサイクルで再び第1番から順に取り上げ、主に演奏のレビューをしたいと思う。ベートーヴェンの演奏については、①古いヒストリカルな録音(概ね60年代まで)、②ステレオの録音(概ね80年代まで)、そして③最近20年位の録音、の3つのカテゴリーに分けてみた。それぞれのカテゴリーから1枚ないし2枚のディスクを集めてきたので、それを紹介する。ただ初回は音楽と、もっとも今お気に入りの演奏のみを取り上げる。
手前味噌だが、私のコレクションは、発売されたすべてのディスクを聞いて判断し持っているわけではないが、ちょっとした自慢でもあるのは事実である。なので、それを紹介するこれからの作業は、大変神経を使うがそれ以上に、興奮する作業である。
では、まず交響曲第1番ハ長調から・・・。
2012年3月1日木曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
ブラームス:「ハイドンの主題による変奏曲」変ロ長調作品56a(クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮クリーヴランド管弦楽団)
ブラームスの今一つの管弦楽作品「ハイドンの主題による変奏曲」は、ハイドンの作品を元にしたものではない。ハイドンの作品とされていた頃のディヴェルティメント第46番変ロ長調Hob.II.46の第2楽章を題材としている。この曲は「聖アントニウス」というタイトルが付けられているように、古...

-
1994年の最初の曲「カルーセル行進曲」を聞くと、強弱のはっきりしたムーティや、陽気で楽しいメータとはまた異なる、精緻でバランス感覚に優れた音作りというのが存在するのだということがわかる。職人的な指揮は、各楽器の混じり合った微妙な色合い、テンポの微妙あ揺れを際立たせる。こうして、...
-
現時点で所有する機器をまとめて書いておく。これは自分のメモである。私のオーディオ機器は、こんなところで書くほど大したことはない。出来る限り投資を抑えてきたことと、それに何より引っ越しを繰り返したので、環境に合った機器を設置することがなかなかできなかったためである。実際、収入を得て...
-
当時の北海道の鉄道路線図を見ると、今では廃止された路線が数多く走っていることがわかる。その多くが道東・道北地域で、時刻表を見ると一日に数往復といった「超」ローカル線も多い。とりわけ有名だったのは、2往復しかない名寄本線の湧別と中湧別の区間と、豪雪地帯で知られる深名線である。愛国や...
0 件のコメント:
コメントを投稿